インクリメンタル・リペアの概要

インクリメンタル・リペアの動作と使用できる構成オプションのサマリー。

インクリメンタル・リペア

インクリメンタル・リペアでは、インクリメンタル・リペア用に予約され、構成されているテーブルのまだリペアされていないデータのみがリペアされます。

インクリメンタル・リペアがクラスター全体で完了すると、Repair Service(リペア・サービス)は指定された時間、スリープ状態になります。未リペア・データのインクリメンタルしきい値に達すると(DSE 5.1以降)、基準を満たす、指定されているテーブルでのみインクリメンタル・リペアがトリガーされます。クラスター全体を1回リペアすることを「リペア・サイクル」と呼びます。

インクリメンタル・リペアは、1つの順番でシーケンシャルに実行され、並列処理では実行されません。Repair Service(リペア・サービス)では、インクリメンタル・リペアとサブ範囲リペアを組み合わせて使用します。max_parallel_repairsオプションが1に設定されている場合、サブ範囲リペアとインクリメンタル・リペアはタスクを1つずつ交互に実行し、サブ範囲リペアが完了するまで待機してから、インクリメンタル・リペアが開始され、その逆の場合も同様です。この動作は、リペア問題の分離に役立ちます。

データ・センターとラックによる制限

incremental_repair_datacentersオプションを使用してインクリメンタル・リペアを制限するデータ・センターとラックを指定します。リペアをデータ・センターまたはラックで制限すると、両方のデータ・センターでキースペースがレプリケートされているマルチ・データ・センターのクラスターのリペア・パフォーマンスが向上します。処理するリペア・タスクが少ないほど、リペアは短時間で完了します。

含めるテーブル

インクリメンタル・リペアに含める特定のテーブルをincremental_repair_tablesオプションで指定します。OpsCenter.settingsテーブルとOpsCenter.backup_reportsテーブルはデフォルトで含まれています。

未リペア・データのしきい値

未リペア・データ量が特定のしきい値(デフォルトでは1 KB)を上回る場合、Repair Service(リペア・サービス)は、インクリメンタル・リペアの候補に指定されたテーブルのみをリペアします。incremental_thresholdオプションを使用して、しきい値を構成します。

注: インクリメンタル・リペアのしきい値オプションは、DSEバージョン5.1以降のみに適用されます。

DSEバージョンが少なくとも5.1以降である場合、Repair Service(リペア・サービス)は、しきい値基準を満たさないテーブルをincremental_repair_tablesオプションから除外する追加ステップを実行します。インクリメンタル・リペアが終了すると、Repair Service(リペア・サービス)は、インクリメンタル・リペアのテーブル・リスト内の各テーブルをしきい値と照らし合わせてチェックしてから、リペアの対象となるテーブルで次のリペアを開始します。しきい値オプションを使用すると、より限定的なインクリメンタル・リペアを実行できます。

DSEバージョンが5.1より前である場合は、Repair Service(リペア・サービス)により、インクリメンタル・リペアに構成された各テーブルが必ずリペアされます。

インクリメンタル・エラーしきい値を無視する

アラートを発行するまでエラーを無視するしきい値は、デフォルトで20に設定されています。お使いの環境のインクリメンタル・リペア・エラーのアラートの許容レベルを調整するには、しきい値をincremental_err_alert_thresholdで構成します。

インクリメンタル・リペア・サイクル間のスリープ

インクリメンタル・リペアをすべて完了した後、Repair Service(リペア・サービス)は、一定の時間(デフォルトでは1時間)、インクリメンタル・リペアを中断してから再開します。スリープ時間は、incremental_sleepオプションで構成できます。

インクリメンタル・リペアの進行状況

ダッシュボード・グラフのSSTable Repairedメトリクスを使用して、インクリメンタル・リペアの進行状況を確認します。「インクリメンタル・リペアのリペア済みSSTableの追跡」を参照してください。

インクリメンタル・リペアの実行中、[Repair Status]タブには進行状況バーが表示されます。

詳細と構成例については、「インクリメンタル・リペアの構成」を参照してください。